Jun KONISHI 03 works

" Holy Hole " Akademie Galerie , Munchen

Jun KONISHI, Rebecca HANNON, Pedro SEQUEIRA.

   Holy Hole

街中のショーケースに並べてあるようなジュエリーには、今さらながら飽き飽きする。金銀財宝を使っていかに豪華に仕上げてあったとしても、値札に目がいくだけ。『春の新作』、『魅惑のジュエリー』、『ダイヤモンドの感動をあなたに』といったキャッチフレーズにいたっては、吐き気と目眩がしてくる。

今、このギャラリーを埋めつくしている数々の物たちは、そういった世界とはおよそかけ離れたところから運び込まれた物たちである。ここドイツで、アメリカ人のRebecca Hannon、ポルトガル人のPedro Sequeira、そして日本人の私から選ばれた物たちである。それらに共通して言えるのは『円』、『輪』、『穴』の『かたち』があるということ。現在においても多くの人々が落ちているナットに指を入れてみたり、何も変哲もないワイヤーを首にかけたり、拾ったガラスの破片をペンダントにしてみたりと、一度は経験しているはずである。さらに今回集められた物たちは、人間という大きさの範疇を越えていない。もちろんそこには『人間が物を身につける』という前提があったからで、象やアリの為ではなかった。また選んだ人によって選ばれた物も当然違ってきた。ということは見る人によっても見え方が当然違ってくるはずである。それが『ジュエリーの原点』だとたいそれたことを言う気はないが、あえて言わせてもらうのなら、人がジュエリーをジュエリーとして認識する以前に、人間が物を身につけようとする行動には『その物に対する個人的な想い』と『物質的な構造と大きさ』が絶対に不可欠なのではないかということである。

だから、そういったところにジュエリーとしての根本的な在り処があるのではないのかと探ってみたのが、この展覧会『Holy Hole』である。たまにはあなたも、手に持っているヤスリを置いて、パチンコをやめ、女の尻を追うのをやめて、『それを』探しに行くのもいいかもね。

小西 潤