THE DOCHU
妹背 裕展 −漆ワーク−
2000.6/12−17
オープニングパーテイ 12日18:00〜 「日本の経済状況から徐々に取り残されつつある四国こそ 未来のビジョンを切り開いて行く場である。」 というテーマで、 妹背さんのお話を少し聞いた後で パーティを行います。
企画 :笹山 央
シコクは、鄙びた風景と明るい陽光の中で、
ゆったりと過ぎて行く時を生きるところだと思う。
妹背 裕![]()
妹背裕(いもせ・ゆたか)は四国・香川県に在住している造形作家です。 香川県は、高松漆芸といって漆器づくりの盛んなところでもありますが、 妹背もそういう風土の中で、漆を素材にした作品を創ってきています。 今回の個展では、生漆におがくずや砂などを混ぜたものを塗った、 円柱状のかたちをしたオブジェ作品「THE DOCHU」シリーズを、 画廊空間に林立させます。 香川県の隣は、讃岐山地を境にして徳島県となりますが、 同県の阿波町に「土柱」と呼ばれる自然の造形ゾーンがあります。 土柱は、130万年の歳月をかけて土と水と風が作りなした自然景観ですが、 妹背の新作群はこの土柱からインスピレーションを受けて制作したものです。 土柱の景観は、妹背の創作の基盤となるポエジーの質を表しているように思えま す。 花鳥風月的な優艶な美感に訴えるものではなく、むしろ無骨で質朴で 雄渾の風情なのですが、ここには地質学的な悠久の時間にさらされた 自然の飾らない素顔が見られます。 虚飾ではなく、素のままの姿で人間の暮らしと共存する自然、 それは四国という島の自然の特徴であり、魅力でもあります。 シコクは、鄙びた風景と明るい陽光の中で、 ゆったりと過ぎていく時を 生きるところだと思う。 と妹背は言います。 「THE DOCHU」シリーズは、そういう思いを込めての創作です。 笹山 央