画廊から一言
関次俊雄氏は20代のはじめに漆の産地、輪島と深いかかわりを持ちますが、その事は以後変わる事無く、 彼の創作のルーツとして根底にながれています。 しかし、氏はいわゆる漆作家ではありません。 氏の根底にある輪島と言う土地は、氏に漆塗りの文化の盛衰を通して物事のあり方、生きること、物を作る事、 工芸の事、今の工芸のあり方を考えさせてくれます。 輪島についたり、離れたりしながら色々な角度から輪島、漆、漆文化を見つめていた関次氏の創作は熟すのを 待っていたかのように54歳からはじまります。
今回の個展は、昨年急死したイスラエルのナショナルミュゼアムのキューレイター イジカ・ガオンとの出会いを 自分の中で消化し、問い直したものです。 イジカ・ガオン氏は1996年に「日本のテキスタイルマジシャン」と題する企画展を行い日本の作家をイスラエルに 紹介しました。 この展覧会に参加した事は、関次氏にとって大きな転機でした。 それは美術の専門家が彼の作品について初めてきちんと語ってくれた事。 もう一つはエルサレムと言う場所と の出会いでした。 この2つの事を作家が問い直し、整理し、今現在の思いを表現した展覧会です。
お忙しい中とは存じ上げますが、ぜひご覧くださいませ。
98,9−22
ギャラリーいそがや
上林 喜美子
Kambayashi kimiko