森田 秀子 染織展 profile works

-聖と俗- ストラとストール

2003.12/1-6

私のアトリエから、富士山が真直ぐに見えます。この季節、真冬の富士ほどの厳しさはなく、

穏やかで清澄とした趣があり、日暮れ時の一瞬、スミレ色に浮かび上がる富士山は、絶品。

そして、裏山に登って丹沢、富士、箱根、伊豆、大島、相模湾、三浦、房総半島まで、グルリと

見渡す眺めは、今まで見たどこの風景より、私は一番気に入っています。この周りの自然を

羅針盤として、毎日糸をつむぎ、染め織物を続けています。

昨年は、自然色、モノトーンのカシミヤとウールの布を発表いたしましたが、今年は思うにまかせた

色に染めた、カシミヤの原毛を、チャルカで糸につ紡ぎ、ストールやマフラーに織り上げました。

今年の夏に、大切な恩師である、柳悦考先生が天寿を全うされ、秋にはローまでお世話になった、

浜尾大司教様が枢機卿になられました。悲しみも、喜びも、いつになく深い秋になりました。

そんなことを心の底に想い、はじめてストラを制作いたしました。

東洋と西洋、喜びと悲しみ、カシミヤとウール、白と赤、黄緑と紫、日常と非日常、聖と俗・・・

                                       2003.12月

                                       森田秀子